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Research

研究紹介

ネットワーク化制御システム

研究概要

情報・通信技術の発展に伴い,様々な制御システムの「ネットワーク化」が盛んに行われています。ネットワーク化された制御システムの具体例として,ロボットやドローンの遠隔制御,無線通信を用いた化学プロセスの制御,車間通信による車の隊列走行などが挙げられます。ネットワーク化された制御システム(ネットワーク化制御システム)は,制御対象(物理システム)とコントローラ(情報システム)が通信のやり取りを行うことから,サイバーフィジカルシステムの代表例です。

下図に,ネットワーク化制御システムにおける制御対象とコントローラとの通信のやり取りを示します。具体的には,制御対象がセンサデータをコントローラに送り(図:Step1),コントローラはその情報からアクチュエータに印加する制御入力を計算し,それを制御対象にフィードバックします(図:Step2)。この手順を繰り返すことで,例えばドローンを目的地に到達させるといった所望の制御目的を達成します。ここで,ネットワーク化制御システムにおいて特に留意するべき点と言われているのが,制御対象とコントローラとの通信頻度です。すなわち,制御対象からコントローラ,あるいはその逆方向の通信が頻繁に行われると,通信の帯域や通信機器の消費電力が著しく増加してしまいます。一方で,通信頻度を少なくしすぎると,制御対象が所望の制御目的を達成できなくなる可能性が高くなります(例えば,通信を行わない間に,ドローンが障害物にぶつかってしまうなど)。したがって,所望の制御目的と通信頻度の低減化の両方を達成するためにも,制御入力を決定する制御方策と,「いつ制御対象とコントローラが通信するか」という通信のタイミングを決定する通信方策を同時にかつ適切に設計していくことが重要となります。

そこで本研究では,ネットワーク化制御システムにおける制御と通信方策の同時設計法の開発を行っています。具体的には,事象駆動制御や自己駆動制御と呼ばれる枠組みを用いて,制御するべき必要な時のみ通信を行いながら制御目的を達成するアルゴリズムの開発を行っています。さらに,ガウス過程や強化学習といった学習理論を用いて,未知のダイナミクスを持つ制御対象にも適用できる設計法の確立も目指しています。