RIGHT:[[English>Synthesis(Eng)]] ** コミュニケーション図から状態機械の合成 [#qbf41a3f] 合成手順は以下のようになります. + クラス図の作成 + コミュニケーション図の作成 + 状態機械の合成 *** 例題 [#e873c495] #ref(purchaseordercol.png,right,around) コレオグラフィを右図に示します. 右図はUML1.xのコラボレーション図の記法により書かれています. ((コラボレーション図はUML2.xではコミュニケーション図と名前が変わっています.コラボレーション図では先行子を使ってメッセージ間の順序関係を記述できます.例では,例えば shipReqの前にある 1/A1 が先行子です.A1はshipReqを表し,メッセージ1がA1に先行することを表しています.すなわち,Vendorはorderを受信後shipReqを送信しなければなりません.)) この例は,[[BPEL-WS 2.0>http://docs.oasis-open.org/wsbpel/2.0/wsbpel-specification-draft.html]]仕様書を元に [[T. Bultan等によって作成された例>http://dx.doi.org/10.1007/s11761-008-0022-7]]を一部改変しています. この例では,Customer, Vendor, Shipping, Invoicing, Scheduling の5つのサービスが存在します.VendorはCustomerからorderを受け取ると,Shipping, Invoicing, Schedulingの各サービスに指令を出し,それらからの返答をまとめてCustomerにorderReplyとして返信します. Shippingへの指令はshipReqで,返答はshipInfoです. Invoicingへの指令はproductInfoとshipTypeで,返答はinvoiceです.Vendorは,productInfoについてはorderを受けるとすぐに送信しますが,shipTypeについてはshipInfoを送信した後でないと送信してはいけません.InvoicingはproductInfoとshipTypeを受信した後に,何らかの処理を行い,invoiceを返信します. Schedulingへの指令はproductScheduleとshipScheduleです.ここで,VendorはproductScheduleについてはorderを受けるとすぐに送信しますが,shipScheduleはshipInfoを受信した後に送信します. VendorはshipInfoとinvoiceを受信して,shipScheduleを送信した後にorderReplyをCustomerに送信します. *** クラス図の作成 [#pe69aaa6] RSA上に,UMLプロジェクトを作成します. 次に,クラス図を作成します.この例では,Customer, Vendor, Shipping, Invoicing, Schedulingのサービスが存在しますので,それらのクラスを作成します. #ref(classDiagram.png,center) *** コミュニケーション図の作成 [#t120ba7a] コミュニケーション図を作成し,作成したクラスをコミュニケーション図上にライフラインとして配置します. 通信が行われるライフライン間にメッセージ路を引きます. #ref(communicationDiagram1.png,center) メッセージを追加します. RSAではメッセージの種類として, - 非同期呼び出し(Asynchronous Call) - 非同期シグナル(Asynchronous Signal) - 同期呼び出し(Synchronous Call) の三種類を選ぶことができます.CSCB Toolsでは,非同期呼び出しと同期呼び出しの2種類をサポートしています. ここでは,例の全てのメッセージが非同期呼び出しであるとします. メッセージを追加したコミュニケーション図は下図のようになります. #ref(communicationDiagram2.png,center) メッセージ間の順序関係を定義します. - コミュニケーション図ではコラボレーション図にあった先行子が無くなっています. - シーケンス番号がありますが,例のような順序を表すことはできません. CSCB Toolsではメッセージの「文書」に先行するメッセージを記述することにします. 例えば,orderReplyにはshipInfo, invoice, shipScheduleが先行するので,orderReplyの文書に下図のような記述を追加します. #ref(communicationDiagram3.png,center) これで,準備完了です. *** 状態機械の合成 [#r100e3cd] プロジェクトエクスプローラーで状態機械を合成するパッケージを右クリックし,メニューから「Create StateMachine」-> 「create State Machine all by CSCB」を選択すると,全てのサービスの状態機械が合成されいます. ちなみに,「create State Machine by CSCB」を選択すると,合成するサービスを選択することができます. また,「... by projection」を選択すると射影法によって状態機械を合成します. #ref(stateMachine1.png,center) 特に問題が無ければ,状態機械が合成され,モデルに追加されます. ちょっとわかりづらいですが,上の図のPurchaseOrderプロジェクトのBlanc Packageにはクラス図とコミュニケーション図しかありませんが,下図では各サービスの状態機械が追加されています. ちょっとわかりづらいですが,上の図のPurchaseOrderプロジェクトのBlank Packageにはクラス図とコミュニケーション図しかありませんが,下図では各サービスの状態機械が追加されています. #ref(stateMachine2.png,center) *** 実行結果 [#tba5403c] 以下に,合成された状態機械を示します. - Customerの状態機械 初期疑似状態から状態V1への遷移において,操作"send order to vendor"(vendorにメッセージorderを送信する)を実行し,事象orderReply_receiveの生起により終了状態に遷移しています. #ref(stateMachine_customer.png,center) - Vendorの状態機械 Vendorはメッセージorderの受信事象order_receiveが生起すると,3つのプロセスを並行して実行します.これらは状態V2の3つの領域にある状態機械で表現されます. 最初の領域では,shippingにshipReqを送信し,shipInfoを受信すると,さらに2つのプロセスに分かれます.一つ目のプロセスではschedulingにshipScheduleを送信します.もう一つのプロセスではinvoicingにshipTypeを送信し,invoiceを受信します.これら2つのプロセスが終了するとcustomerにorderReplyを送信します. 2つめの領域では,schedulingにproductScheduleを送信します. 3つめの領域では,invoicingにproductInfoを送信します. 3つの領域の実行が終了すると,終了状態に遷移します. #ref(stateMachine_vendor.png,center) - Shippingの状態機械 ShippingはshipReqを受信すると,shipInfoをvendorに返信します. #ref(stateMachine_shipping.png,center) - Invocingの状態機械 - Invoicingの状態機械 InvoicingはshipTypeとproductInfoを並行して受信します.そして,shipTypeを受信するとvendorにinvoiceを送信します. ((この例では,invoiceにproductInfoが先行していないので,InvocingはproductInfoを受信する前にinvoiceを発行する可能性があります.この問題は,コレオグラフィにおいてinvoiceにproductInfoが先行するようにすれば解決します.)) ((この例では,invoiceにproductInfoが先行していないので,InvoicingはproductInfoを受信する前にinvoiceを発行する可能性があります.この問題は,コレオグラフィにおいてinvoiceにproductInfoが先行するようにすれば解決します.)) #ref(stateMachine_invoicing.png,center) - Schedulingの状態機械 SchedulingはshipScheduleとproductScheduleを受信します. #ref(stateMachine_scheduling.png,center) - クラス図 実行後のクラス図は下図のようになります. 通信先への参照と,呼び出されるメソッドが追加されています. #ref(classDiagram2.png,center) RIGHT:[[CSCB]]